宗教文化の網の目

「宗教を信じること」が暴走しないために。偏見や差別、暴力の助長に宗教が加担するような局面を減らしたい―。一筋縄ではいかない問題を、井上順孝さんが考えます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

第6回 フェイクニュースの感染力

フェイクニュース時代の到来 2017年2月上旬、いくつかの博物館を調査するためワシントンに行ったとき、その近くにあったホワイトハウスの周りの様子も少し見学した。トランプ大統領が米国の大統領に選ばれ、少なからぬ数の米国の知識人たちが衝撃を受けてい…

第5回 デジタル化の波の下にあるもの

突然のZoom時代 2019年末の段階で、2020年度の大学の講義の大半がZoomを通して行なわれるなど、誰が予想したであろうか。新型コロナウイルスの感染症が拡大し始めても、教育の場にこのような影響をもたらすとまで考えが至らなかった人もいたようだが、事態は…

第4回 気付かぬままに固守するもの

グローバル化への反発の理由 グローバル化(globalization)という言葉は現在ではあちこちで使われ、もはやあまりインパクトのないものになっている。だが実際どんな意味で使っているかを確かめると、意外に曖昧で、人によってだいぶ差がある。どこの国に行…

第3回 教祖の語りと教師の語り

出会いによって人は変わる 神社への参拝や先祖供養は日本の宗教文化の中に定着している。それに対して近代に新しく起こった新宗教は、それまで地域の共同体に担われていた宗教文化、時には家族が継承してきた宗教文化と時折ぶつかることがあった。キリスト教…

第2回 継承か伝染か

突然の変貌に宗教的理由があるとき 人が変わったようになったという表現がある。いい意味にも悪い意味にも使われる。人が変わったようになったという場合は行動だけでなく、顔つき、目つきなどでも判断される。 大きな環境の変化があれば、行動や言葉遣い、…

第1回 問い続け、考え続けたいこと

新型コロナウイルスに直面して 3月下旬にAFP(フランス通信社)がイタリア北部の町ジュッサーノにあるカトリック教会のミサの様子を配信した。神父が会衆席に向かってミサを執り行う姿を背後から撮った写真であるが、席にあったのは信者たちの姿ではなく、彼…

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