宗教文化の網の目

「宗教を信じること」が暴走しないために。偏見や差別、暴力の助長に宗教が加担するような局面を減らしたい―。一筋縄ではいかない問題を、井上順孝さんが考えます。

2022-01-01から1年間の記事一覧

第24回(最終回) 常に変わる環境へのサ-チライトがつながりを照らす

意識的な選びと無意識的な選び 現代宗教を中心的な研究対象にしているので、現在進行形で世界に起こっている宗教現象から何を読み取ったらいいのか、いつも考える癖ができてしまった。だがその多様さや複雑さには、時折目が眩みそうになる。さほど眩まないで…

第23回 進化する情報ツールで宗教の激しい変容を追いかける

目まぐるしく変わる情報ツール 宗教にとって情報のやりとりは活動の維持にとっての根幹部分である。情報を交換する手段が変わるなら、布教・教化のあり方もまた、時代とともに変わるのは必然のなりゆきである。20世紀後半、とりわけ1990年代あたりからの情報…

第22回 宗教文化の知識で「予測する心」の弱点を補うには

プーチンを支持するキリル総主教 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、夥しい数のウクライナ市民の犠牲者を出していて、世界に大きな衝撃を与えている。近現代において国家間の紛争や戦争に、宗教的な対立が絡む例がいくつかあった。宗教…

第21回 「脳のモザイク」説は宗教界のジェンダー論議にどう波及する?

女性神職を目指す人たちは増加傾向だが 国学院大学に専任教員として在籍したのは36年間である。そのうち当初からの20年間は日本文化研究所の専任教員であったが、2002年に神道文化学部という新しい学部が設置されることになり、その専任教員となった。日本文…

第20回 「日常」は「科学」より「宗教」に近いかもしれない

恐怖に着眼したヒッチコック 1990年代前半に朝日新聞社が企画した「20世紀の千人」というシリーズに、執筆者の1人として加わった。10巻本で1巻に100人の人物を扱う計画であった。その中の第8巻が「教祖・意識変革者の群れ」*1というテーマで、ここに私がこの…

第19回 事前知識の影響を受けた脳の推定が道を迷わせることもある

八方目はっぽうもく 大学時代に所属した少林寺拳法部では剛法、柔法、整法の基本的な技を教わった。剛法とは突きや蹴りなどであり、柔法とは体の構造や急所を踏まえて相手を制する方法である。整法はツボを知り経脈を整える方法であるが、按摩のようなつもり…

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